2026/10/09 14:22
カルボナーラやカチョ・エ・ペペなど、ローマの伝統的なパスタ料理に欠かせないチーズ「ペコリーノ・ロマーノ」。
イタリア料理のレシピで名前を見かけても、パルミジャーノ・レッジャーノとは何が違うのか、どんな味がするのか、よく分からないという方も多いのではないでしょうか。
ペコリーノ・ロマーノは、羊乳ならではの力強い風味と、はっきりした塩味が特徴のハードチーズです。その歴史は古代ローマ時代にまでさかのぼり、現在でもイタリア料理に欠かせない存在となっています。
今回は、ペコリーノ・ロマーノの歴史や製法、産地、パルミジャーノとの違い、そして美味しい食べ方まで詳しくご紹介します。

ペコリーノ・ロマーノとは?羊乳100%のハードチーズ
ペコリーノ・ロマーノ(Pecorino Romano)は、イタリアで作られる羊乳100%のハードチーズです。
「ペコリーノ」という名前は、イタリア語で羊を意味する「ペコーラ(pecora)」に由来します。
イタリアには数多くのペコリーノチーズが存在し、産地や熟成期間、製法によって味わいはさまざまです。
そのなかでもペコリーノ・ロマーノは、しっかりとした塩味と豊かな香りを持ち、特に料理にすりおろして使われることで知られています。
また、EUの原産地名称保護制度であるD.O.P.の認証を受けており、定められた地域で規定に従って製造されたものだけが、正式にペコリーノ・ロマーノD.O.P.を名乗ることができます。
ペコリーノ・ロマーノの基本情報
原産国:イタリア
原料乳:羊乳100%
種類:ハードチーズ
主な産地:サルデーニャ州、ラツィオ州、トスカーナ州グロッセート県
最低熟成期間:テーブルチーズ用5か月、すりおろし用8か月
特徴:力強い塩味、羊乳由来の香り、凝縮された旨味
代表的な料理:カルボナーラ、カチョ・エ・ペペ、アマトリチャーナ

なぜ「ロマーノ」なのにサルデーニャ産なのか?
ペコリーノ・ロマーノについて調べると、少し不思議なことに気づきます。
「ロマーノ」とはローマの、あるいはローマに由来するという意味ですが、現在流通しているペコリーノ・ロマーノの大部分は、ローマから離れたサルデーニャ島で作られているのです。
これには、このチーズの長い歴史と生産地の変化が関係しています。
古代ローマから続くチーズの歴史
ペコリーノ・ロマーノの起源は、2,000年以上前の古代ローマ時代にまでさかのぼります。
当時から羊の飼育が盛んだったイタリア中部では、羊乳を保存性の高いチーズに加工する技術が発達していました。
古代ローマの著述家コルメラは、農業に関する著書のなかで羊乳を使ったチーズの製法について詳しく記しています。
チーズは貴族の食卓で楽しまれる一方、保存が利き、持ち運びにも適した食料として重要な役割を果たしていました。
特に興味深いのが、ローマ軍との関係です。
ローマ軍の兵士にも支給された保存食
古代ローマ軍は、長い距離を移動しながら遠征を続ける必要がありました。
そのため、保存できて持ち運びやすく、栄養を補給できる食料が重宝されていました。
ペコリーノ・ロマーノの保護協会によると、古代ローマでは兵士にパンや穀物のスープとともに、1日27gの羊乳チーズが支給されたという記録が伝えられています。
今日のような冷蔵設備がない時代に、塩漬けと熟成によって保存性を高めたチーズは、非常に合理的な食品だったのでしょう。
私たちが今、カルボナーラにすりおろしているチーズの背景には、こうした古代ローマの食文化があります。
生産の中心がサルデーニャへ
もともとローマ周辺の食文化と深く結びついていたペコリーノ・ロマーノですが、その後、生産の中心はサルデーニャ島へと移っていきました。
サルデーニャは古くから牧羊が盛んな地域で、羊乳チーズを作るための環境と技術が培われてきました。
現在、ペコリーノ・ロマーノD.O.P.の生産が認められているのは、サルデーニャ州、ラツィオ州、トスカーナ州グロッセート県の指定地域です。
そのなかでもサルデーニャ州が生産の大部分を担っています。
つまり、「ロマーノ」という名前は歴史的なルーツを表しており、サルデーニャ産だから偽物ということではありません。
サルデーニャで製造されたペコリーノ・ロマーノも、D.O.P.の規定を満たした正真正銘のペコリーノ・ロマーノなのです。

ペコリーノ・ロマーノはなぜ塩辛い?
初めてペコリーノ・ロマーノを食べる方が驚きやすいのが、その塩味の強さです。
日本でもよく知られるパルミジャーノ・レッジャーノと比べると、ペコリーノ・ロマーノは塩気がはっきりしており、羊乳ならではの独特の香りも感じられます。
この特徴には、チーズの製法や歴史が関係しています。
保存性を高めるための塩漬けと熟成
チーズ作りでは、乳を固めて水分を分離し、塩を加えて熟成させます。
塩は味を付けるだけでなく、チーズの保存性や熟成中の変化にも関わる重要な役割を持っています。
ペコリーノ・ロマーノは、古くから保存食として利用されてきた歴史を持つチーズです。
現在の製法でも塩漬けの工程があり、独特のしっかりした塩味を生み出しています。
ただし、塩辛いだけのチーズではありません。
羊乳の豊かなコク、熟成によって生まれる旨味、後味に残る独特の香りが重なり合い、料理の味を大きく変えてくれます。
そのまま食べるより料理向き?
ペコリーノ・ロマーノは、そのまま食べても美味しいチーズです。
ただし、塩味が強く感じられる場合があるため、初めての方は薄く削って少量ずつ味わうのがおすすめです。
一方、パスタなどの料理にすりおろして使えば、チーズの塩味と旨味をソース全体に行き渡らせることができます。
そのため、ペコリーノ・ロマーノは単なるトッピングではなく、料理の味付けそのものを担う食材ともいえます。
パルミジャーノ・レッジャーノとの違い
ペコリーノ・ロマーノとよく比較されるのが、パルミジャーノ・レッジャーノです。
どちらもイタリアを代表するD.O.P.認定のハードチーズで、パスタやリゾットにすりおろして使われます。
しかし、原料乳から味わいまで、大きな違いがあります。
最大の違いは羊乳と牛乳
ペコリーノ・ロマーノは羊乳100%。
一方、パルミジャーノ・レッジャーノは牛乳から作られます。
この違いは、チーズの香りや味わいにもはっきり表れます。
ペコリーノ・ロマーノは羊乳特有の香りと強めの塩味が特徴です。
対してパルミジャーノ・レッジャーノは、牛乳由来のコクと豊かな旨味があり、熟成期間によってはナッツを思わせる香りや複雑な風味が感じられます。
料理では代用できる?
どちらもすりおろして料理に使えますが、単純に置き換えると仕上がりの印象が変わります。
例えばカルボナーラをパルミジャーノ・レッジャーノで作ると、ペコリーノ・ロマーノだけで作る場合と比べて、羊乳特有の香りや塩味が穏やかな仕上がりになりやすいでしょう。
一方、ペコリーノを使用すると、ローマ料理らしい力強い風味が際立ちます。
もちろん、両方をブレンドする方法もあります。
大切なのは、どちらが優れているかではなく、それぞれの特徴を理解して使うことです。
ペコリーノ・ロマーノの美味しい食べ方
ペコリーノ・ロマーノと聞くとカルボナーラを思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、イタリアにはほかにもペコリーノを使った魅力的な料理があります。
1. カルボナーラ
ローマ風カルボナーラに欠かせないのが、ペコリーノ・ロマーノとグアンチャーレです。
グアンチャーレは豚の頬肉を塩漬け・熟成させた食材で、加熱すると旨味を含んだ脂が溶け出します。
そこに卵とペコリーノ・ロマーノを合わせることで、濃厚で豊かな風味のソースに仕上がります。
日本では生クリームを加えたカルボナーラも人気ですが、ローマの伝統的なスタイルでは、生クリームを使わずに卵、チーズ、グアンチャーレなどで仕上げます。
ペコリーノをたっぷり使う場合は、チーズ自体の塩味を考慮して、パスタのゆで湯の塩加減を調整するとよいでしょう。
当店では、グアンチャーレを使ったカルボナーラのレシピも公開しています。
▶ 本格カルボナーラのレシピはこちら
https://shop.belgustogroup.com/blog/2017/06/23/172306
2. カチョ・エ・ペペ
カチョ・エ・ペペは、ペコリーノ・ロマーノと黒胡椒を主役にした、ローマの伝統的なパスタ料理です。
「カチョ」はチーズ、「ペペ」は胡椒を意味します。
材料は非常にシンプルですが、チーズとパスタのゆで汁をなめらかに合わせるにはコツが必要です。
ペコリーノの塩味と香り、黒胡椒の刺激を楽しめる、チーズ好きにはぜひ試していただきたい料理です。
3. アマトリチャーナ
アマトリチャーナも、ローマ周辺で親しまれている代表的なパスタです。
グアンチャーレの旨味とトマトの酸味に、ペコリーノ・ロマーノの塩味が加わることで、味わいに奥行きが生まれます。
トマトソースのパスタにいつもパルミジャーノを使っている方も、ペコリーノに変えることで違った味わいを楽しめます。
4. そら豆とペコリーノ
少し意外かもしれませんが、イタリアではそら豆とペコリーノを一緒に食べる習慣があります。
特に春のローマ周辺では、旬のそら豆と羊乳チーズを組み合わせる食べ方が親しまれています。
そら豆の青々とした風味と、ペコリーノの塩味は相性のよい組み合わせです。
そら豆をさやから取り出し、チーズを小さく切って添えるだけでも、手軽なおつまみになります。
5. サラダや温野菜に
ペコリーノ・ロマーノは、パスタ以外にも活躍します。
例えば、ルッコラのサラダに薄く削って散らしたり、焼いたズッキーニやじゃがいもにすりおろしてかけたり。
オリーブオイルや黒胡椒と組み合わせるだけでも、シンプルな野菜料理がぐっと引き締まります。
塩味が強いため、料理そのものの塩加減を控えめにするのがポイントです。

ブロックと粉チーズ、どちらを選べばいい?
ペコリーノ・ロマーノを購入する際、ブロックタイプと粉チーズタイプで迷う方もいるでしょう。
どちらにも、それぞれの使いやすさがあります。
ブロックタイプがおすすめの方
ブロックタイプの魅力は、使う直前に必要な量を削れることです。
おろしたての香りを楽しめるほか、薄くスライスしたり、小さく切ってそのまま食べたりと、幅広く使えます。
カルボナーラやカチョ・エ・ペペに使うだけでなく、チーズそのものの風味も楽しみたい方におすすめです。
粉チーズタイプがおすすめの方
粉チーズタイプは、おろし金を用意する必要がなく、料理にすぐ使えることが最大の魅力です。
カルボナーラやアマトリチャーナなど、パスタ料理を頻繁に作る方にも便利です。
ただし、粉チーズにはペコリーノ・ロマーノ100%のものと、ほかのチーズをブレンドしたものがあります。
購入するときは、商品名だけでなく原材料や配合を確認するとよいでしょう。
ペコリーノ・ロマーノはどこで買える?
ペコリーノ・ロマーノは、輸入食材を扱う専門店やチーズ専門店、一部のスーパーマーケット、通販サイトなどで購入できます。
ただし、店舗によってはブロックタイプしか取り扱っていない場合や、粉チーズのみの販売となっている場合もあります。
また、一般的な粉チーズとペコリーノ・ロマーノ100%の商品は異なるため、購入する際には表示を確認しましょう。
当店ではブロック・粉チーズともに100g単位で販売しています
il gusto Cicciでは、イタリア・サルデーニャ産のペコリーノ・ロマーノ D.O.P.を取り扱っています。
ブロックタイプと粉チーズタイプの2種類をご用意しており、どちらもペコリーノ・ロマーノD.O.P.を100%使用した商品です。
ブロックタイプは、大きな塊で仕入れ、ご注文をいただいてから必要な量をカットし、真空包装してお届けしています。
粉チーズタイプは、メーカーであらかじめ粉状に加工された製品です。おろし金を使わず、すぐに料理にお使いいただけます。
どちらも100g単位で量り売りしているため、用途や使用量に合わせてお選びいただけます。
カルボナーラやカチョ・エ・ペペを本格的に作ってみたい方、パルミジャーノとの違いを食べ比べてみたい方も、ぜひ一度お試しください。
▶ ペコリーノ・ロマーノ D.O.P.【ブロック・粉チーズ】の商品詳細はこちら
https://shop.belgustogroup.com/items/4098087
また、カルボナーラを作るなら、グアンチャーレもおすすめです。
▶ グアンチャーレの商品詳細はこちら
