2024/08/31 14:45
英国チーズを代表するスティルトンは世界三大ブルーチーズの一つとして、フランスのロックフォール、イタリアのゴルゴンゾーラと並ぶチーズ。ブルーチーズらしい青カビの描く大理石模様が美しく、その名はロンドンから130キロほど離れたスティルトンという街の名に由来します。実はスティルトンには青カビを用いないホワイトスティルトンも生産されています。
今ではイギリスを代表するチーズと言っても過言ではないスティルトンですが、有名になるきっかけは18世紀、街の旅籠でこのチーズを食べた作家ダニエル・デフォーが著書の中で English Parmesan (イギリスのパルメザンチーズ)としてそのおいしさを紹介したことから世界的に名が知れ渡ったと言われており、英国女王のエリザベス2世は海外公務にも取寄せて毎日食べるほどスティルトンが大好物だったそうです。
また、このスティルトンはイギリスのクリスマスには欠かせないチーズで、銀のポットに入れたスティルトンをクリスマスプディングと一緒にプレゼントする習慣があります。
スティルトンができるまで
現在生産されている地域はイギリス中部のノッティンガムシャー、ダービーシャー、レスターシャーの3州。欧州委員会によって原産地名称保護制度による指定も受けています。 (1996年にP.D.Oを認証取得。)
現代でもひとつひとつ手づくりされる伝統的な製法が守られており、その作り方は『スティルトン生産者協会』の会員だけに伝承されているそうで、原料となるミルクも地元で搾乳、低温殺菌されたものに限られます。
青カビとレンネット(凝乳酵素)を加え温めたミルクからホエイ(乳清)を除去したカード
をスティルトンシンクと呼ばれる台で細かくし、塩を加えて直径20cmの円筒型に詰め、反転を繰り返しながらおよそ9週間熟成させます。
熟成中にチーズの中心に空気を入れるためにステンレスの針でスティルトンの外皮を突き刺す事によって、あの美しいカビの縞模様ができるそうです。
スティルトンのおいしい食べ方
ブルーチーズの中では水分が少なめでシャープな味わいが持ち味のスティルトン。
しっかりとした塩味と青カビチーズらしい特有の香り、ピリっとした刺激とコクが楽しめます。
チーズそのものを楽しむもよし、ハチミツやナッツ、ドライフルーツともよく合います。
料理に使うのもおすすめでキッシュやケークサレ、サラダなどにも是非お使いください。
牛肉との相性もよく、旨味の相乗効果でよりおいしくなります。焼きたてのビーフステーキの上に薄く切ってのせるだけで美味しいステーキソースになります。イギリスでは牛のひき肉とスティルトンを使ったパイ包みも親しまれています。
お酒に合わせるのであれば定番はポートワイン。甘口のポートワインとスティルトンの塩気が絶妙なマリアージュを醸しだし鉄板の組み合わせと言えます。
それ以外にもシェリーやマデラ酒、ウイスキーにも。
日本酒や焼酎などの和酒にも以外とよく合います。